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事務所便り令和2年(2020年)2月末号


事務所便り令和2年(2020年)2月末号

第1 税務・会計・法務情報

 《1》令和2年度改正創設のひとり親控除は令和2年分適用開始です

 従来、同じひとり親であっても、離婚・死別なら寡婦[寡夫]控除が適用され。
 未婚の場合は適用されず、婚姻歴の有無が、控除のありなしを分けていました。

 例えば、夫をなくした妻は、所得条件満たせば、寡婦控除がとれるのに。
 妻をなくした夫は、所得条件満たしても、扶養控除対象となる子等がいないとダメ。

 また、同じひとり親でも、男性と女性で控除額が違うという問題もありました。
 男性が27万円控除できる条件で、女性なら35万円控除とれていました。

 これらの不均衡を是正するという趣旨で、令和2年度改正が行われます。
 改正法成立は3月末予定ですが、令和2年分所得税からの適用になります。

 ちなみに、死亡や国外転出などで年の途中で年末調整する場合は即影響します。
 給与計算・年末調整担当者の方は、今後の税務署アナウンス等にご注意下さい。

 改正の概要は下記です。
 ただ、財務省のパンフレット図を見て頂くのをお勧めします。

【1】生計を同じとする子(総所得金額等が48万円以下)を有する単身者について、同一の「ひとり親控除」(控除額35万円)を適用

 ◆寡婦控除・寡夫控除を改組し、「ひとり親控除」を新設します。
 ◆「ひとり親控除」の適用は、婚姻歴や、性別に関係ありません。

【2】上記【1】以外の寡婦は、従来通り寡婦控除で控除額27万円を適用し、子以外の扶養親族を持つ寡婦には、男性の寡夫同様に所得制限(所得500万円(年収678万円)以下)を設定

 ◆ひとり親控除以外の寡婦控除と寡夫控除を原則フラットにする建前です。
 ◆ただ、実は、完全にフラットになるわけではありません。

  ・扶養親族のない男性には、配偶者死別・離別での控除がないのは従来通りです。
   しかし、扶養親族のない女性には、配偶者死別での27万円控除があります。

  ・子以外の扶養親族のいる男性には、死別でも離別でも、従来通り控除なしです。
   しかし、女性は子以外の扶養親族がいると死別か離別で27万円控除ありです。

   →老親や孫を扶養親族としている寡婦は救済され、寡夫は救いがありません。
    高齢者が高齢者を看る時代に、これでいいのかとの疑問はあります。

【3】ひとり親控除、寡婦控除のいずれについても、住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある者は対象外とする取り扱いを新設

 ◆本当に、現場で、住民票の確認ができるのか、実務における最大の課題です。
 ◆ただし、やらないと、市町村で是正するように、総務省から通知が出ています。

参考)
パンフレット「令和2年度税制改正(案)のポイント(令和2年1月)」[財務省]
https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeiseian20/zeiseian02all.pdf

 《2》マイナンバーカードがあればコンビニで住民票写しが取得できるように

 以前、姫路市に行った時にびっくりしたのですが。
 住基カードがあれば、コンビニで住民票写しが取得できるようでした。

 いつになったら、地元でできるようになるのかと思っていたのですが。
 ついに、令和2年3月2日から可能になるのですね。

全国のコンビニで住民票の写し等が取得できます
福山市 掲載日:2019年12月1日更新
http://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/soshiki/shimin/165669.html

 先にマイナンバーカードを取得しておく必要がありますが。
 住民票写し・印鑑証明・戸籍・所得課税証明書が取得可能になる。

 セブンイレブン・ファミマ・ローソンのマルチコピー機等でOK。
 詳細は下記サイトで。

コンビニエンスストア等における証明書等の自動交付:コンビニ交付
証明書の取得方法
https://www.lg-waps.go.jp/01-01.html

 で、休日でも取得できるようですが、時間帯制限があり。
 毎日6時半から23時まで利用できるということだそうです。

 福山以外に、井原市も令和2年3月1日から利用可能に。
 むむ、福山より1日早いではないですか。

証明書コンビニ交付サービスについて
井原市 公開日 2019年10月30日
http://www.city.ibara.okayama.jp/docs/2019100100044/

 近隣だと、笠岡市・三原市・府中市は既に利用可能。

コンビニエンスストア等における証明書等の自動交付:コンビニ交付
利用できる市区町村(検索)
https://www.lg-waps.go.jp/01-04.html

 しかし、尾道市は、利用可能日のアナウンスなし。
 尾道市民の皆さんは、もう暫く不便を我慢頂くしかないようです。

 ということで、まずは、マイナンバーカードの取得ですね。
 およそ1ヶ月くらいかかるという話なので、早めに手続きしておきましょう。

 6月になると、皆取得で激混みになるという噂です。

 《3》民法債権法の改正~契約書雛形を見直す必要がないかの検討を

 4月から民法債権法の改正が施行されます。

 多くは、既に判例法理となったものを条文に取り込んだなどの改正です。
 しかし、中には、従来の骨格を大きく変えてしまったものもあります。

 とりわけ、建設会社・ソフトウエア会社あるいは不動産賃貸業者の皆様は。
 自社への影響について、顧問弁護士さんに相談されますことをお勧めします。

 契約書の雛形そのものの見直しを行う必要がないか。
 まさに法務の問題として検討して頂くことをお勧めします。
 (弊所は税理士事務所ですので、弊所への質問・依頼はお控え下さい)

 その他の皆様についても、時効や法定利率の改正などは影響があります。
 とりわけ、身元保証について限度を定めない根保証は無効になるなど、影響が全くない事業者の方はありません。

 ここでは、法務省のパンフレットページを示しておきます。
 漫画の「桃太郎と学ぶ民法」は気楽に読めるので、お勧めですね。

桃太郎と学ぶ民法(債権法)改正後のルール[法務省]
http://www.moj.go.jp/content/001311772.pdf

民法の一部を改正する法律(債権法改正)について[法務省]
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html

第2 研修会情報・執筆情報

 《1》関与先様向研修会

1)弊所における研修会開催

 弊所では、毎年、改正税法研修会を1月に開催し、相続税・贈与税セミナーを秋口に開催しております。

 昨年は、1月に改正税法研修会、4月に所得拡大促進税制セミナー、7月に消費税の税率改定対応セミナー、11月に相続税贈与税セミナーを開催しました。

 関与先様で、自社の利用で必要な方は、お申し出頂ければ、セミナー資料等をお渡しできます。

 なお、弊所からお渡しする資料については、上記研修資料を含め、自社以外での利用は行わないよう、宜しくお願いします。必要があれば、別途ご相談頂ければ幸いです。

2)令和2年度税制改正速報セミナー

 本年は、2月5日午後に福山商工会議所8階TKC福山SCG情報センター研修室にて、令和2年度税制改正に関する研修会を行いました。関与先様には、お申し出頂ければ当日の講義音声を録音したCDをお渡しさせて頂きます。

 《2》外部研修会情報

1)税務研究会関東信越局 事業承継セミナー

 2020年6月15日月曜大宮ソニックビル6階602会議室(さいたま市)にて、事業承継についてのセミナー講師を務める予定です。なお、私が第1回で、第2回は、大阪勉強会グループメンバーの村木慎吾先生で、リレー形式での研修会となる予定です。

 《3》執筆情報

1)雑誌関係

(1)週間税務通信(税務研究会)

 週間税務通信で月1回連載「実例から学ぶ税務の核心」を大阪勉強会のメンバー(濱田康宏・岡野訓・内藤忠大・白井一馬・村木慎吾)による座談会形式で行っています。

 税務通信3592号 2020年02月10日に「実例から学ぶ税務の核心 第40回 個人所得税関係~ネット取引の調査事例を中心に~」が掲載されました。

 税務調査で問題となったネット取引における脱税事例を中心に議論しています。機会があれば、是非、ご一読下さい。

(2)労務事情(産労総合研究所)
 雑誌「労務事情」で月1回法人の給与税務関係での連載を行っています。労務事情 2020年2月15日No.1400では、「安易に分掌変更役員退職給与を利用した場合の危険性」が掲載されました。

「Q 当社の代表取締役が,今期は利益が出ているので,節税できないかと銀行に相談したところ,役員報酬を半分以下に下げれば,在職のままで退職金を受給できるという話を聞いたということです。本人は代表者および取締役からは退きますが,後を継ぐ息子は経験が浅いので,当分は自身が監督すべく,相談役に残る予定です。退職金の扱いについて,何か問題はあるでしょうか。 」

 紙版の事務所便りを配信させて頂いているお客様には、別紙で同時にお送りする予定です。ご覧になって頂き、普段の実務に生かして頂くようお願い申し上げます。

2)書籍関係

(1)「事業承継におけるリスク回避の重要ポイント」が発刊されました。

 大蔵財務協会様より「事業承継におけるリスク回避の重要ポイント~失敗事例から導く失敗しないコツ~」が令和2年2月19日付で発刊されました。著者はいつもの大阪勉強会のメンバーです(岡野訓先生・白井一馬先生・内藤忠大先生・濱田康宏・村木慎吾先生・北詰健太郎先生)。今回は、司法書士の北詰先生にも加わって貰い、法務面の充実を図りました。

 テーマは文字通り、失敗事例から学ぶリスク回避のポイントであり、税理士はもちろんのこと、金融機関の方や、意欲的な経営者の皆様に是非お読み頂きたい書籍となっていります。

 濱田は、「Ⅳ 役員退職給与に関する失敗事例」を担当しております。

 17 分掌変更の実態を甘くみた事例
 18 分掌変更による役員退職給与の支給決議方法のミス
 19 分掌変更による役員退職給与の支給妥当額の判断ミス
 20 分掌変更による退職慰労金の支給決議時期の失敗

 役員退職給与の失敗は、金額も大きく、取り返しのつかないものが多いのですが、不知からとんでもない事態を招くことが少なからずあります。機会がありましたら、是非、ご確認頂きたいと願っております。

第3 その他
 《1》お勧めの書籍・雑誌

 今月はございません。