ホーム:事務所便り:2018年度:

●2018年5月末日用事務所だより


●2018年5月末日用事務所だより

第1 税務・会計・法務情報

 《1》事業承継税制特例制度セミナーは6月7日開催です

 6月7日(木曜)午後エフピコリム7階にて、事業承継税制特例セミナーを開催します(要事前申込)。

 まずはセミナーを受講頂いて、判断材料を得て下さい。
 そこから、今後どうするかのお話をしていきたいと考えています。

 《2》「国民健康保険医療費のお知らせ」に患者負担額の記載が(福山市)

 福山市から、1月から2月の医療費の利用通知が来ました。
 今までの封筒形式から変わって、親展ハガキ形式になっていました。

 開封すると、医療費額の通知ですが、患者負担額欄があります。
 これで、ようやく、医療費控除に使えるようになります。
┌─────────────────────┐
│紛失しないよう、保管を宜しくお願いします。│
└─────────────────────┘

 ただ、今、5月終わりですから、3ヶ月近く掛かっています。
 11月から12月の分は、確定申告期で使えない公算大です。

 で、患者負担額の記載についてですが。
 国保だけでなく、後期高齢者医療費制度も同じなのかと期待しています。

 《3》30年5月から雇用保険手続でマイナンバーの記載がなければ届出等を返戻

 最近は、税務署や地方税事務所よりも、ハローワークが過激ですね。


30年5月から雇用保険手続でマイナンバーの記載がなければ届出等を返戻
2018年 4月23日 税のしるべ

 雇用保険手続において、平成30年5月以降、マイナンバーの記載が必要な届出等にマイナンバーの記載・添付がない場合は、事業主に届出等が返戻され、マイナンバーを記載等の上、再提出が求められるので注意したい。

 マイナンバーが必要な届出等は9つ(表参照)。すでにハローワークにマイナンバーを届け出ている場合などは、各届出等に「マイナンバー届出済」と記載することで、マイナンバーの記載を省略できる。

 従業員からマイナンバーの提供を拒否された場合は、ハローワークが一定の確認等をした上で受理するとしている。

 (略)



 ただし、本人拒否の場合は、その旨を明記すればよいのですね。


 本人からマイナンバーの提供を拒否された場合の取扱いについて雇用保険手続の届出に当たって個人番号を記載することは、事業主においては法令で定められた義務であることをご理解いただいた上で、従業員に個人番号の提供を求めていただくこととなりますが、仮にマイナンバーの提供を拒否された場合には、その旨を申し出ていただいた上で受理することとしており、個人番号の記載がないことをもって、ハローワークが雇用保険手続の届出を受理しないということはありません。

 なお、電子申請による届出等の場合は各届出等の備考欄(資格喪失届は備考欄がないため、社会保険労務士欄の直下のスペース)に「本人事由によりマイナンバー届出不可」の記載をお願いします。

「事業主の皆様へ 雇用保険手続の際には必ずマイナンバーの届出をお願いします(リーフレット)」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/20180420hoken_2.pdf


 税務外ですが、念のため、知っておいて頂ければと思います。

 《4》大法人についてe-Taxが義務化されます

 2020年(平成32年)4月1日以後開始事業年度(課税期間)より、資本金の額が1億円超となる法人については、法人税・消費税・法人住民税・法人事業税などの電子申告が義務化されます。

 課税庁からは、下記パンフが出されています。
 大法人及びその関連法人の皆様は、対応のご検討を宜しくお願いします。

【国税庁】大法人についてe-Taxが義務化されます!!(平成30年5月)
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/houjin_e-tax_gimuka_201805.pdf

 なお、弊所では、TKCのASP1000R導入をお手伝いしております。ご興味のある方は、担当者までお問い合わせ下さい。

 《5》平成31年度からの確定申告における電子申告の利便化~IDとパスワードは、所轄税務署に出向き、職員と対面による本人確認を行った後に発行

 税務調査の後で、調査官が、従業員さんに回覧して下さいなどと。
 来年から、確定申告は電子申告が便利になるとアピール必死です。

 ところが。

 なんと、一度は税務署に行かないとダメなのですね。
 ということは、事実上、無料納税相談やってないと使えないわけです。


31年からのe-Taxの利用手続簡便化で30年4月から税務署でID等を発行
2018年 4月23日 税のしるべ

 (略)

 一方のIDとパスワード方式は、マイナンバーカードやICカードリーダライタを持っていない納税者向けのもの。所轄税務署に出向き、職員と対面による本人確認を行った後に発行されたIDとパスワードだけでe―Tax申告が可能となる。
 全国税務署では4月以降、ID・パスワードの発行を行っており、ID・パスワードの取得に当たっては、税務署の職員と対面による本人確認を行う際には、運転免許証や、マイナンバーカード、公的医療保険の被保険者証などの本人確認書類が必要だ。
 ID・パスワード方式によるe―Taxでの申告は、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」でのみ利用できる。
 また、ID・パスワード方式でメッセージボックスに保管されている受信通知(e―Taxでの申告履歴)や税務署からのお知らせなどを確認することができないので注意が必要だ。

 (略)



 更に、使えるのも、申告書作成コーナーだけと限定。
 おまけに、メッセージボックス確認などもできない。

 3年したら見直す、つまりまた止めることを匂わせていますが。
 むしろ、利便性で苦情が出そうな話です。

 ということになると。

 税理士関与の場合は、マイナンバー方式を利用するしかないです。
 ID・パスワード方式だと困ると、理解しておくべきですね。

 つまり、
┌───────────────────────┐
│税理士事務所に関係なく、自分で最初から最後まで│
│申告する人だけが、今回の緩和措置対象 │
└───────────────────────┘
 です。

 弊所の言うことと、税務署の言うことで混乱する恐れがありますが。
 このような事情ですので、関与先の皆様には、ご注意頂ければ幸いです。

 《6》所有者不明土地対策で一定の相続登記に係る登録免許税を免税、国税庁がリーフレット

 平成30年度改正で導入された相続登記の非課税措置が2つあります。
 そのうち1つでは、登記申請書への根拠規定記載が必須だと。


所有者不明土地対策で一定の相続登記に係る登録免許税を免税、国税庁がリーフレット
2018年 4月16日 税のしるべ

 (略)

 免税措置は二つある。
 一つは、相続により土地を取得した人が相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置(租特法第84条の2の3第1項)。
 相続により土地の所有権を取得した個人が、当該土地の所有権の移転登記を受ける前に死亡した場合、その死亡した個人を登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税が免税される。30年4月1日から33年3月31日までの3年間の時限措置となる。
 この免税措置の適用を受けるためには、登記申請書に、免税の根拠となる法令の条項である「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載する必要がある。
 この記載がない場合は、免税措置を受けられないため、注意が必要だ。

 (略)

 二つめは、少額の土地を相続により取得した場合の登録免許税の免税措置(租特法第84条の2の3第2項)。
 個人が、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」(30年4月16日現在未成立)の施行の日から33年3月31日までの間に、市街化区域外の土地で市町村の行政目的のため相続登記の促進を図る必要があるものとして法務大臣が告示等で定める土地について、相続による所有権の移転登記を受ける場合で、その土地の登録免許税の課税標準となる不動産の価額が10万円以下であるときは、その土地の移転登記については登録免許税が免税される。


 1つめは、第一次相続の後、第二次相続が生じた場合の第一次相続分。
 第二次相続分まで非課税になるわけではないよと。

 2つめは、市街化区域外の土地で指定されたものについて。
 少額だから、相続登記促進のため、パスされるという趣旨のもの。

 まぁ、2つめはあまり影響なさそうですが。
 1つめは、頭の片隅に入れておくべきかもしれません。

相続による土地の所有権の移転登記に対する登録免許税の免税措置について[国税庁]リーフレット
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0018003-081-01.pdf

 《7》遺留分権利者が行使できる権利、侵害額相当分の金銭支払い請求のみに(税のしるべ)

 なるほど、いわゆる「いやげ物」を押しつけられるのを嫌ったのだ。
 この用語がみうらじゅんの造語って、先日まで知りませんでしたけど。


連載「これだけは知っておきたい相続法の改正」(著者: 弁護士・税理士・石井亮)
第11回/遺留分権利者が行使できる権利、侵害額相当分の金銭支払い請求のみに
2018年 4月16日 税のしるべ

遺留分

Q31 遺留分に関して、どのようの改正がありましたか。

 (略)

Q32 遺留分が侵害された場合に遺留分権利者が行使できる権利は、どのように変更されましたか。

A32 現行法では、遺留分を侵害された遺留分権利者は、贈与又は遺贈の「減殺」を請求することができるとされています。

 (略)

 改正法案では、遺留分を侵害された遺留権利者は、「減殺」ではなくて、受遺者又は受贈者に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いのみを請求することができるとされました。

 なお、法制審議会での審議過程では、受遺者又は受贈者は、金銭の支払いに代えて、贈与又は遺贈の目的物を遺留分権利者に取得させることができることとされていましたが、受遺者又は受贈者が不要な財産を押し付ける懸念があるとして、改正法案では、そのような現物給付の制度は採用されていません。

 これまで、後継者に対する非上場株式の贈与に対し「減殺」が行われた結果、遺留分権利者が被相続人の意思に反して贈与の目的物である非上場株式の所有権(又は共有持分)を取得し、事業承継の障害となることがありました。

 しかし、改正法案では、後継者は、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いは求められるものの、贈与の目的物である非上場株式が遺留分権利者に帰属するということはなくなるということになります。
 もちろん、当該支払いができない場合には、支払いを強制する手段として、差押等が行われる可能性があることには注意が必要です。

Q33 遺留分を算定する際に加算される贈与の範囲について、どのような改正がありましたか。

 (略)



 事業承継への影響について、加算する贈与の範囲ばかり話題でしたが。
 確かに、贈与された非上場株式の帰属は、理論的には問題でしたね。

 これが、改正により、解決つくだろうと。
 でも、逆に言えば、金銭の支払いは逃げられないってことかな。

 あと、税務への影響は心配です。
 従来の整理を維持してくれることを期待していますが。

 《7》社会福祉法人・医療法人への会計監査導入に係る取組について(会計・監査ジャーナル)

 会計・監査ジャーナル2018年6月号より。

○連載 協会役員に聞く!!-日本公認会計士協会の取組を中心に-
 第6回 社会福祉法人・医療法人への会計監査導入に係る取組について
 柴毅(日本公認会計士協会 常務理事)
 須藤一郎(インタビュアー 機関誌編集委員会編集員)

 まず、社会福祉法人への会計監査導入について。
 約320法人が監査対象になっているのだという。

 会計監査人任意設置で受けている法人が80あるので。
 合計で、現段階では、400法人が監査対象になると。

 しかし、段階的に監査対象が拡大する見込みであり。
 最終的には、全体の1割である2000法人が対象になる予定だという。

 これからの社会保障ニーズ増大が見込まれる状況であり。
 適切な会計監査の導入に繋がったというのですが、それはさておき。

 会計士のリソースに問題ないのかという問いに。
 柴氏は、地理的偏在はあれど、問題ないと考えていると回答している。

 もうこれ以上会計士を増やして、失業問題再燃はさせたくない。
 そんなの当たり前だということなんでしょうね。

 ただ、社福の監査経験のある会計士の数は足りない地域があると。
 というか、企業監査しかやってない人間で大丈夫なのかですが。

 研修で果たして対応可能なのか。
 個人的には、かなり疑問視していますが、まぁタッチしないのでいいか。

 それより気になるのは、次の医療法人への会計監査導入について。

「須藤 続いて、医療法人への会計監査導入についてお話をおうかがいしたいと思います。平成29年4月1日以降開始の会計年度から、一定規模以上の医療法人への会計監査が義務付けられました。」

 えーと、平成29年4月2日以後開始事業年度からですよね……。
 これ読んで、大騒ぎする人は一部でしょうけれど、すごい誤植だと。

 3月決算法人は、平成31年3月決算からが対象です。
 しかし、平成30年4月決算法人は、もう適用対象になりますので。

 他山の石で、関係者はご注意頂きたいですね。

参考)
「医療法人の計算に関する事項について」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000158964.pdf

第2 研修会情報・執筆情報

 《1》関与先様向研修会

 弊所では、毎年、改正税法研修会を1月に開催し、相続税・贈与税セミナーを秋口に開催しております。

 現在のところ、相続税贈与税セミナー日程は未定です。

 なお、上記のように、6月7日(木曜)に関与先様向けの新事業承継税制セミナーを開催します。既にご案内をしておりますが、まだの方はどうかふるってご参加下さい。

 《2》外部研修会情報

1)FIC役員給与セミナー

 中央経済社「役員給与」(濱田康宏著)の発刊を契機に、セミナー講師を依頼されました。

 10月2日(火曜)東京 (小林磨寿美税理士と共同)
 10月5日(金曜)名古屋

 上記2ヵ所の講師を務める予定となっております。

2)日本公認会計士協会千葉会

 「資本等取引の税務調整~自己株式・組織再編」について、日本公認会計士協会千葉会会員向けの研修講師を務める予定です。

 10月13日(土曜)千葉中央ツインビル2号館14階にて

 《3》執筆情報

1)週間税務通信(税務研究会)で月1回連載「実例から学ぶ税務の核心」を大阪勉強会のメンバー(濱田康宏・岡野訓・内藤忠大・白井一馬・村木慎吾)による座談会形式で行っています。

 5月では、下記が掲載されました。

「実例から学ぶ税務の核心 第20回 新設された事業承継税制の特例」(税務通信3506号 2018年05月14日)

 平成30年度税制改正に関する法律が成立し、政省令も出そろったことを受けて、最も注目度が高いと思われる事業承継税制の特例について、改正条文を掘り下げて検討するとともに、実務目線で問題点を探りました。

 機会があれば是非お読み頂ければ幸いです。

 《4》書籍情報

1)新・監査役野崎修平(マンガ)

 マンガですが、是非お読み下さい。
 テーマは、地銀とアパートローンというド直球です。

 スマートデイズとかぼちゃの馬車・スルガ銀行が問題になっている今、必読だと言えます。

新・監査役野崎修平(周良貨・能田茂)
内容紹介
 伝説の銀行マン・野崎修平が帰ってきた――!! かつて、あおぞら銀行の頭取まで務めた野崎が、今度は横浜にある地銀の雄・みらい銀行の監査役に!! バブルの亡霊が跋扈する現代の銀行業界の闇に、鋭い視点で切り込み新たな改革の道筋を示す!! 『監査役野崎修平』待望の新シリーズ、ここに登場!!
https://www.amazon.co.jp/dp/B07C897WYZ

 ちなみに、第一話は下記で読めます。

グランドジャンプ試し読み|『新・監査役野崎修平』
http://grandjump.shueisha.co.jp/original/sin_nozaki/

2)事業承継税制の特例制度がざっくりとわかる本 贈与税編 Kindle版

 ご存じ、内藤忠大先生のマルチバースからの小冊子です。
 Kindleで350円で読めてしまいますが、内容は本当に素晴らしい。

事業承継税制の特例制度がざっくりとわかる本 贈与税編 Kindle版
https://amzn.to/2IhmiIB

 手続として何があり、何を落としてはいけないのか分かります。

3)改訂増補 メディカルサービス法人をめぐる法務と税務

改訂増補 メディカルサービス法人をめぐる法務と税務
-医療法人・MS法人間取引の実務ガイド-
佐々木克典
清文社 2018年5月10日発行
https://www.amazon.co.jp/dp/443364708X

 個人では日本で一番特定医療法人申請事例を扱っていると言われる佐々木税理士の経験に基づく事例や見解が満載です。

 MS法人をお持ちの医療法人関係者や、認定医療法人移行あるいは特定医療法人・社会医療法人関係者も是非読むべき一冊だと思います。

3-3 特定医療法人の申請においてどのような指摘例がありますか
3-5 認定医療法人がMS法人に利益供与をした場合どうなりますか

 このあたりは、経験豊富な佐々木税理士にしか書けない部分です。