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●2016年12月末日用事務所だより


●2016年12月末日用事務所だより

第1 税務・会計・法務情報

 《1》平成29年度税制改正関係

 さる平成28年12月8日に与党税制改正大綱が公表されました。
 以下、ハイライト部分のさわりを紹介します。

〇配偶者控除・配偶者特別控除の見直し(平成30年分の所得税から)

 就労調整対策で、配偶者控除・配偶者特別控除を見直します。
 多くの方には、控除額が増えますが、一部の方は控除額が減ります。
┌─────────────────────────┐
│特に、本人の合計所得金額1000万円超になると │
│配偶者控除・配偶者特別控除は一切使えなくなります。│
└─────────────────────────┘

〇積立型NISAの創設(平成31年分の所得税から)

 従来型NISAとの選択となる20年間の積立型NISAが創設されます。

〇医療費控除(セルフメディケーション税制含む)の提出資料変更(平成29年分の所得税確定申告(平成30年提出分)から)

 現行制度は、医療費の領収書又は医薬品購入費の領収書の添付又は提示が必要です。
 これを、
┌──────────────────────┐
│医療費の明細書又は医薬品購入費の明細書を │
│確定申告書の提出の際に添付しなければならない│
└──────────────────────┘
 とします。

〇非上場株式の相続税・贈与税納税猶予制度(平成29年分相続・贈与から)

 従来、非常に使い勝手の悪かった制度ですが、かなり改善を行います。
 納税猶予取消になった際の衝撃を緩和する方向の改正です。

〇相続税・贈与税の納税義務の見直し(平成29年4月1日以後相続・遺贈・贈与から)
 国内に住所を有しない者の納税義務を見直します。
 シンガポールに5年住めば、相続税が掛からないという抜け道がありました。

〇居住用超高層建築物に係る課税の見直し(原則、新規分で平成30年度から)

 いわゆるタワマンの固定資産税額について、階層で差がつくよう見直します。

〇中小企業者等の償却資産税の減免特例

 強化法認定を受けた中小企業者等の機械装置の償却資産税減免制度の拡充です。
┌─────────────────────────────┐
│測定工具・検査工具・器具備品・建物附属設備が追加されます。│
│ただし、地域・業種が限定されます。 │
└─────────────────────────────┘

〇中小企業向け設備投資促進税制の改組

1 中小企業経営強化税制(従来の中促上乗せ分のパワーアップ版)

 生産性向上投資促進税制が終了します。
 ただ、中小企業投資促進税制では、同制度分の上乗せ措置が使えました。
┌──────────────────────────────┐
│この上乗せ制度を改組して、中小企業経営強化税制を創設します。│
│全ての器具備品及び建物附属設備を対象とします。 │
└──────────────────────────────┘

2 従来の中小企業投資促進税制
┌──────────────────┐
│上乗せなしも2年延長されますが、 │
│対象資産から器具備品を除外されます。│
└──────────────────┘
 このほか、

・非上場株式の評価方法見直し(平成29年以後の相続・贈与から)
・広大地評価の見直し(平成30年以後の相続・贈与から)
・株式保有特定会社の判定基準見直し(平成30年以後の相続・贈与から)
・研究開発税制等の見直し
・所得拡大促進税制の見直し
・法人税申告期限の延長
・地域中核企業向け設備投資促進税制の創設

 などがあります。

 平成29年16日月曜に、関与先向けの平成29年度改正税制速報セミナーを開催します。
 福山商工会議所8階(TKC福山会議室)にて、14時~16時で開催です。 

 別途、関与先様向けの案内を発信しております。
 ご確認の上、ふるってご参加下さい。

 《2》持分なし医療法人への移行に係る医療法人への贈与税の非課税措置創設

 持分ありの社団医療法人にのみ関係する、平成29年度改正事項です。

〇持分あり医療法人から持分なし医療法人への移行に係る医療法人への贈与税の非課税措置創設(医療法の一部改正時期次第のため適用時期未定)

 持分あり医療法人から持分なし医療法人に移行する際、出資持分がなくなります。
 この際、非同族要件などを満たさないと医療法人に贈与税が生じる場合があります。

 一定の場合に、これを非課税とする制度を創設します。
 ただし、医療法改正が前提です。

平成29年度 厚生労働省関係税制改正事項の概要
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000107237_3.pdf

 厚労省資料によれば、非課税要件は、次のようになっています。

 [1]社員総会の議決があること
 [2]移行計画が有効かつ適正であること
 [3]移行計画期間が3年以内であること
 [4]運営の適正性要件を移行後6年間維持していること

 この[4]で出てくる運営の適正性要件については、
┌──────────────────────────────┐
│【1】法人関係者に利益供与しないこと │
│【2】役員報酬について不当に高額にならないよう定めていること│
│【3】社会保険診療に係る収入が全体の80%以上 │
│   等 │
└──────────────────────────────┘
 となっています。

 「等」の中身がまだわかりませんが、内容次第では悩みどころです。

 ただし、移行してしまえば、私有財産を放棄することになります。
┌──────────────────────────────┐
│移行を検討する場合、私有財産放棄の意味を再確認して頂くことが│
│必要です。 │
└──────────────────────────────┘

 《3》平成28年分確定申告関係 国税庁URL

 確定申告関係について、ネット環境のある方は、下記で手引きなどがとれます。

確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書等
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki01/shinkokusho/02.htm

明細書・計算明細書等(平成28年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki02/01.htm

確定申告に関する手引き等
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2016/index.htm

平成28年分贈与税の申告書等の様式一覧
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/zoyo/yoshiki2016/01.htm

平成28年分贈与税の申告のしかた
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/zoyo/tebiki2016/01.htm

 《4》医療費控除・配当金集計はエクセルファイルで

 国税庁から、医療費控除集計のための明細と配当金集計のための明細のエクセルシートが配布されています。エクセルを使える方は、是非ご利用下さい。

医療費集計フォーム(国税庁 平成28年分確定申告特集準備編)
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tokushu/h28junbi/iryouhikoujo.htm

配当集計フォーム(国税庁 平成28年分確定申告特集準備編)
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tokushu/h28junbi/haitou.htm

第2 研修会情報・執筆情報

 《1》関与先様向研修会

1)平成29年度税制改正速報セミナー

 平成29年16日月曜に、関与先向けの平成29年度改正税制速報セミナーを開催します。
 福山商工会議所8階(TKC福山会議室)にて、14時~16時で開催です。 

 関与先様には、別途案内を行いますので、よろしくお願いします。

 《2》外部研修会情報

1))しまなみ信用金庫躍磋(やっさ)塾

 しまなみ信用金庫様の若手経営者向け研修会である躍磋(やっさ)塾第4回(平成28年12月6日しまなみ信用金庫福山営業部開催)にて講師を務めました。テーマは「税務調査の受け方」です。

2)中国税理士会福山支部青年部

 中国税理士会福山支部青年部法規研修の講師を務めました(平成28年12月9日金曜・MCビル)。テーマは「税理士業務で必要なパソコン知識について」です。

 《3》執筆情報

1)「関係会社間取引の利益移転と税務(平成28年改訂版)

 大蔵財務協会様から、「関係会社間取引の利益移転と税務」の三訂版に当たる平成28年改訂版を発刊しました。初版・第二版と同様、小林磨寿美先生・佐藤増彦税理士との共著です。

2)週間税務通信 月1回連載「実例から学ぶ税務の核心」を大阪勉強会のメンバー(濱田康宏・岡野訓・内藤忠大・白井一馬・村木慎吾)による座談会形式で行っています。既に第3回まで掲載されています。

<第1回> DES 課税リスク説明義務違反事件  (発行日:2016年10月10日)
<第2回> 役員退職金の最近の裁判例をどう位置づけるか①  (発行日:2016年11月14日)
<第3回> 役員退職金の最近の裁判例をどう位置づけるか②  (発行日:2016年12月12日)
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