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●2016年9月末日用事務所だより


●2016年9月末日用事務所だより

第1 税務・会計・法務情報

 《1》決算賞与は期中に支払ってしまいましょう

 今期は利益が出ているという時、どうするかですが。
 決算賞与を未払にする節税手法は、比較的よく知られているようです。

 しかし、経験上で言えば、
┌───────────────────────────────┐
│決算賞与の未払は、税務調査で否認される率が高い項目の上位です。│
└───────────────────────────────┘
 幾つかの条件を充たす必要があるのですが、多くの場合はできていません。

 場合によっては、仮装隠蔽行為で、重加算税の対象になることもあります。
 調査では、最初から、この決算賞与の否認のために来た、なんてこともあります。

 実は、この期末賞与は、税務署が調査に来る前の事前審理で確認しやすいのです。
┌──────────────────────────────────┐
│[1]損益計算書で前期比較すると、賞与計上額が前期より多いと分かる。│
│[2]貸借対照表の未払金勘定が、前期と比較して多いと分かる。 │
│[3]内訳書で[2]の内容で、何が増えているか確認できる。 │
│[4]事業概況書の人件費の状況で、各月計上時期の内容が分かる。 │
│[5]源泉所得税納付書で、実際に支給したのがいつか分かる。 │
└──────────────────────────────────┘
 これらを組み合わせると、決算賞与の未払を実行したかが分かります。

 決算賞与の未払で、一番大事な要件は、
┌──────────────────┐
│期末までに各人に支給額を通知すること│
└──────────────────┘
 です。

 しかし、実は、この各人への支給額の個別通知は面倒です。
 なので、調査に行き、ちゃんと通知をやっているか確認しようとなるのです。

 「バレないだろう」と、かつて、注意喚起を無視して実行されたケースがあり。
 しっかりと否認されました。
 例えば、パソコンの履歴で確認されたものもあります。

 結論ですが、
┌───────────────────────────┐
│決算賞与は、未払にせず、期中に支払ってしまって下さい。│
└───────────────────────────┘

 未払計上の条件を揃えるより、実はその方が、はるかに楽です。
 そして、
┌───────────────────────────────┐
│実は、決算賞与の未払が、税務調査の招待状になっていることが多い│
└───────────────────────────────┘

 ということも、知っておいて下さい。

 「この手の手法を使う会社というのは、調査に行けば、埃が出やすい。」
 調査官は、基本そのように考えていると考えて下さい。

┌───────────────────────────┐
│お金が動かない未払が増えると、税務署の目が光るのです。│
└───────────────────────────┘

 《2》通帳を使い分ける・集約する

 相続税の申告書作成業務をやっていて感じたことですが。
 銀行預金の使い方について、一貫性がない通帳というのが結構あります。

 自分の生活費用、プライベート用、家族用、などと分けてあるのでなく。
 この時期はこの通帳から、今度は別の通帳から、引き落とししているとか。

 逆に、銀行預金の使い分けを徹底している方もおられます。
 お金の流れが見えやすくなり、管理がしやすくなります。

 この点は、特に、高齢になった際に、お子さん達に支援して貰う際に大事です。
 継続的な支払いで何があるのかなど、把握しやすくなるからです。

 そこで、提案です。
┌────────────────────────────┐
│預金通帳の数が幾つもある方は、使い分けを意識して下さい。│
└────────────────────────────┘
 その結果、使わない通帳は、解約して、整理を考えて下さい。

 実は、相続が起きた時、通帳の数が多ければ、それだけ手間が増えます。
 手間が生じるのは、相続人の方にですが、トラブルも起きやすくなります。

 「お父さんには、どれだけの預金があったのだろう」
 「お母さんの通帳で、まだ見つけていないものがあるのかしら」

 実は、相続人の皆さんは、こんな苦労をされています。

 財産を遺すことも大事ですが、こういう整理をしていくことも大事です。
 自分のため、あるいは遺された方々のためになります。
┌─────────────────────────────┐
│通帳の数が多ければ集約して、通帳による使い分けを意識する。│
└─────────────────────────────┘
 是非、実践してみて頂ければと思います。

第2 研修会情報・執筆情報

 《1》関与先様向研修会

 秋から冬に、例年通り、相続税・贈与税セミナーを開催します。
 現在、準備中です。

 《2》外部研修会情報

1)東北税理士会研修会(盛岡・仙台)【この10月の日程です】

 東北税理士会の依頼で、平成28年10月20日木曜・21日金曜に盛岡・仙台で研修講師を務める予定となっております。このため、19日水曜夜から週末まで、各種のご連絡ができない場合があり得ます。申し訳ございませんが、どうかご容赦下さい。

2)しまなみ信用金庫躍磋(やっさ)塾

 しまなみ信用金庫様の若手経営者向け研修会である躍磋(やっさ)塾第4回(平成28年12月6日しまなみ信用金庫福山営業部開催)にて講師を務めます。テーマは「税務調査の受け方」です。

3)中国税理士会福山支部青年部

 中国税理士会福山支部青年部法規研修の講師を務めます(平成28年12月9日金曜・場所未定)。テーマは未定です。

 《3》執筆情報

1)「税理」2016年10月号に執筆記事が掲載されました

 「税理」2016年10月号(日本税理士会連合会/監修)に、所長濱田康宏の執筆記事が掲載されました。

 特集:知りたい部分から学ぶ 「一般社団法人・一般財団法人」!!
 一般社団法人・財団法人の具体的な利用場面とメリット
 /税理士・公認会計士 濱田 康宏

 持分のない法人として脚光を浴びている一般社団法人・一般財団法人について、具体的な利用局面ごとに解説を加えています。特に、社団である日本将棋連盟と財団である日本相撲協会との対比は、何故、相撲協会のガバナンスに問題が生じやすいのかを浮き彫りにしています。機会があれば、是非お読み下さい。

第3 PC関係

 《1》ウイルスメールの典型例

 まだまだ、ウイルスメールがやまほど来ます。
 皆様も、どうかうっかり添付ファイルを開かないようご注意下さい。

1)注文書(2016年09月20日到着分)

社内出荷でお願いします。
住所は、先日会社宛にメールもらってるのでそちらに記載されていると思います。

が来ましたので添付します。

iPhoneから送信

【名前が抜いてあり、うっかり、脳内で補って読んでしまうことを狙っています。】

 なお、HTMLメールは感染しやすいため、できるだけ避けたいところです。
 メーラーの設定を変更して、テキストメールの利用をお勧めします。

 相手の方へのマナーです。

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INET用

 《1》重要報道

1)脱税情報等

(1)元英会話講師、脱税認める
東京地裁、過去にNHK出演
2016/9/26 12:18

 (略)

 巽被告はNHK教育テレビ(現Eテレ)の英会話番組に講師として出演していたほか、多くの著書がある。

 冒頭陳述で検察側は「離婚した妻から養育費の請求があった時に備え、資金をためておきたいと考えて所得を隠すようになった」と指摘した。

 起訴状では、印税を米国の銀行口座に入金させるなどの手口で所得を隠し、2011~13年に約2600万円を脱税したとしている。

http://this.kiji.is/152977766835404805

◆既に報道のあった事件のその後ですが、理由が切ないですね。

(2) 東京地検 所得税法違反の罪で建設会社の元副社長を在宅起訴
TBS系(JNN) 9月22日(木)5時55分配信

 下請け業者からキックバックとして受け取ったおよそ3億7000万円の所得を申告せず脱税したとして、東京地検特捜部は建設会社の元副社長の男を在宅起訴しました。

 所得税法違反の罪で在宅起訴されたのは、東京・新宿区の「工新建設」の名取勲・元副社長(69)です。

 起訴状などによりますと、名取元副社長は工事の下請け業者に外注費を水増しして発注し、その一部を現金でキックバックさせ、2013年までの3年間に得たおよそ3億7000万円の所得を申告せず、1億4000万円あまりを脱税した罪に問われています。関係者によりますと、脱税した金は賃貸用の不動産の購入などに充てていたということです。

 (略)

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20160922-00000014-jnn-soci

◆横領事件で、本件では個人だけが問題とされていますが、実は、会社自身も仮装経理等で重加算税を課される事案も聞きます。どこまでが会社の責任かとの線引きは、非常に難しい問題ですが、傾向としては、納税者が負けている事案が多いと感じます。

(3)約1億4000万円を脱税か、会社役員の男を在宅起訴 東京地検

 (略)

 起訴状などによりますと、久野被告は2014年までの2年間個人的に請け負ったウエブ広告事業の売上金について、取引先に、別の支払先への経費であるように装わせて現金で受け取るなどの手口でおよそ1億4200万円の所得を隠し、およそ4900万円を脱税した罪に問われています。

 (略)

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2874448.html

◆ネット関連事業の脱税監視は強化されていると思って下さい。

(4)相馬市が「源泉所得税」納付忘れ 夏のボーナス、延滞金114万円
福島民友新聞 9月21日(水)8時42分配信

 相馬市は20日、6月15日支給の市職員と市議計319人分の夏のボーナス(総額約2億2200万円)で、源泉所得税2073万8889円を期限内に税務署へ納めず、114万3000円の延滞金が発生したと発表した。市は既に源泉所得税を納めたが、延滞金については税務署からの確定通知を受けた後、納付するとしている。予備費から支払い、該当額を特別職(市長、副市長、教育長)の冬のボーナスから差し引いて充当する考え。

 市によると、給与事務を1人で担当する総務課の男性職員が納付を忘れ、上司も確認していなかった。男性職員は異動で今春から給与事務を担当していた。ボーナスの所得税は月例給と同じく、基本的に翌月の10日までに納めることになっていたが、男性職員はボーナス分の納付を忘れ、5%の不納付加算税(103万6500円)と67日分の延滞税(10万6500円)が発生したという。

 男性職員が今月13日、控除金を管理する口座に夏のボーナス分があることに気付いた。男性職員は7、8月の月例給分の所得税を支払った時も、ボーナス分を見落としていた。

 市は「二重、三重の体制で再発防止を図る」と説明。処分などは今後検討する。

 (略)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160921-00010002-minyu-l07

◆中小企業には、他山の石です。誰か一人に任せきりにすると、こういう問題が起きるという話です。しかも、この事案は、最近給与事務を担当し始めた人間に全て丸投げの格好でした。総務・経理を軽視する会社で起きそうな話ですので、是非、ご注意下さい。

(5)3階級制覇・井岡一翔の“金箔御殿”にマルサが動いた 5億円以上の巨額脱税疑惑
デイリー新潮 9月20日(火)17時0分配信

 (略)

 国税局査察部、通称マルサが捜査していることが明らかになったのは、井岡のトレーナーで所属ジムの会長でもある、父・一法(かずのり)氏だ。昨春、井岡が大阪府堺市に新築した豪邸も一法氏の肝煎りで建てられたもので、ここには「一翔記念館」が併設されるほか、寝室の壁には金箔が施されているという。

 (略)

 この“金箔豪邸”情報がマルサを動かした。マルサはこの豪邸や、一法氏が愛人に用意したと思われるマンションの部屋にも踏み込んでおり、国税局関係者は「所得隠しの総額は少なくとも5億円に上るのでは」と明かす。

 (略)

「週刊新潮」2016年9月29日号 掲載
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160920-00512571-shincho-fight

◆ステージパパやステージママによる脱税は、意外に少なくない気がします。

(6)免税店運営会社、3年間に所得隠し1億円 東京国税指摘
朝日新聞デジタル 9月20日(火)5時19分配信

 急増する訪日外国人客(インバウンド)需要で業績を伸ばした免税店運営会社「ALEXANDER&SUN(アレキサンダーアンドサン)」(東京都新宿区)が東京国税局の税務調査を受け、2014年12月期までの3年間に約1億円の所得隠しを指摘されたことがわかった。法人税の追徴課税は重加算税を含め約4千万円とみられ、同社はすでに修正申告しているという。

 (略)

 関係者によると、同社は決算期末に残った商品を棚卸し資産(在庫)に一部、計上していなかったなどとされる。税務上、期末の在庫が少なければ売上原価が増えるため、結果的に課税対象となる所得は少なくなる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160920-00000009-asahi-soci

◆今時、在庫除外って信じられない手法です。ただ、直送品や外部預け品などの除外の話は今でもあります。気をつけたいところです。

(7)人気AV嬢「里美ゆりあ」が2億4500万円の所得隠し “貢がれた”と異議
デイリー新潮 9月17日(土)16時0分配信

 (略)

 2014年6月、ゆりあ嬢を「丸裸」にしたのは、東京国税局の「課税部・資料調査課」に所属する腕利きの調査官たちだった。

 (略)

「彼らは、彼女の銀行口座の出し入れを見て、07年から13年までの7年間で約2億4500万円の所得があったことを突き止めました。おまけに彼女は、毎年の確定申告を義務付けられている個人事業主であるにもかかわらず、その間に一度も申告を行っていなかった。その結果、『所得隠し』を指摘されたのです」

 AV女優のギャラは、高くても1本100万円と言われている。彼女の出演本数は年間20本にも満たないのに、どうやってそんな大金を稼いだのか。

「実は、AV女優としての報酬は約4500万円分だけで、残りの約2億円は個人的に相手をした男性から得たものでした。彼女はそれを現金で受け取り、自分の銀行口座に入れていたのです」(同)

 (略)

「ワイド特集 きょうびの寓話」より
「週刊新潮」2016年9月15日号 掲載
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160917-00512449-shincho-ent

◆すごいですね。絶句です。

(8)キーエンス創業者の贈与めぐり1500億円申告漏れ
毎日放送 9月18日(日)7時22分配信

 電子機器大手「キーエンス」の創業者滝崎武光氏が設立した別会社の株式をめぐって贈与を受けた長男が1500億円を超える申告漏れを国税局から指摘されていたことがわかりました。

 (略)

 大阪国税局は別会社が大量のキーエンス株を間接保有していることから株式の評価額が低すぎると判断し、1500億円を超える申告漏れを指摘。過少申告加算税を含めて300億円を超える税額を追徴したということです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160918-00000021-mbsnewsv-soci

◆最近、事業承継関係を専門にする税理士やメガバンク担当者が戦々恐々としているとの話ですが、この事件もその理由の1つです。簡単に言えば、「やり過ぎ」に気がつかずに、「それはアカンやろ」に踏み込んでしまった事例が、現在、東京・名古屋・大阪の課税庁における富裕層プロジェクトチームに、次々と否認されているようです。

(9)iTunesに120億円追徴 国税、源泉徴収漏れ指摘
2016年9月16日11時51分

 米アップルの子会社で日本法人の「iTunes(アイチューンズ)」(東京都港区)が、音楽・映像の配信サービスのソフトウェア使用料をめぐって東京国税局から所得税の源泉徴収漏れを指摘され、約120億円を追徴課税されたことがわかった。同社は指摘を受け入れ、全額納付したとみられる。

 関係者によると、問題となったのは、iPhone(アイフォーン)に音楽をダウンロードする際などに使用するネット配信サービス「iTunes」のソフトウェア使用料。

 iTunes社は、サービスで得た利益を、ソフトウェアの著作権を保有するアイルランドのアップル子会社に対して使用料の形で支払う必要があった。税法上、外国法人に使用料を支払う場合、支払額の20・42%を源泉徴収して日本で納税しなければならない。だが、国税局が調べると、iTunes社から使用料の支払いはなく、源泉徴収もされていなかったという。

 (略)

http://www.asahi.com/articles/ASJ9J35ZNJ9JUTIL00G.html

◆納税者側は、仕入れ代金であって、使用料ではないとの主張だったようですが、否認されたものです。国際税務においては、何の名目でというだけでは不十分で、トータルでのコスト計算でマージン分析をしないと危険な時代に入っているようです。

(10)政府 海外子会社への課税強化 配当や特許収入を国内並みに
2016.9.14 22:29更新

 政府は今月、日本企業の海外子会社に対する課税強化について、経済界などとの調整作業を本格化した。法人税率20%未満の国につくった子会社の所得を日本の親会社の所得とみなして日本の税率を課す制度を見直し、20%未満という税率基準をなくして適用範囲を広げる。「パナマ文書」問題で関心が高まった課税逃れ対策の実効性を高める。

 (略)

 今回、見直すのは「タックスヘイブン対策税制」と呼ばれる仕組みだ。

 現在は、シンガポールや香港など法人税率が20%未満の国・地域にある子会社を対象に、現地での事業実体がない所得を日本の親会社と合算して日本の法人税率(29・97%)を課している。だが、法人税率が25%のオランダや24%の韓国などは対象外で、日本との税額差を利用した節税の余地が残っている。

 このため、20%未満という税率の基準をなくし、課税は所得の種類で判断する。株主配当や特許権使用料収入など現地の経済活動と直接関わりのない所得は対象だが、商品の製造・販売などで得た所得は対象外で現地の税率を適用する。一方、現在は自動的に親会社に合算される航空機リース子会社の所得については、実体があれば対象から外すことも検討する。

 (略)

http://www.sankei.com/economy/news/160914/ecn1609140030-n1.html

◆海外子会社を抱える企業には、要注意の改正検討事項です。実現すれば、実務が大きく変わり、事務量も大きく増えることになります。本当に実現できるのかとの声もあるようですが、今後注視が必要です。

(11)配偶者控除見直し 自民・茂木政調会長「通常国会で実現」 所得制限に言及
産経新聞 9月15日(木)7時55分配信

 自民党の茂木敏充政調会長は14日、政府の最重要政策である「働き方改革」に関し、専業主婦世帯などの所得税負担を軽くする「配偶者控除」の見直しについて「年末の税制改正大綱に盛り込み、来年の通常国会での改正を目指したい」と述べた。低所得者の税負担を軽減し、高所得者に一定の負担を求める観点から、所得制限を設けるべきだとの考えも示した。産経新聞などのインタビューで答えた。

 (略)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160915-00000078-san-pol

◆毎年やるやる詐欺状態の配偶者控除見直しで、本当にやれるのかですが。
 ところで、茂木政調会長は、いつから税調会長になったのでしょうか、という皮肉がありましたね。宮澤税調会長は、怒っているかもしれません。

(12)セガサミー会長兼社長、30億円の申告漏れ
日本テレビ系(NNN) 9月15日(木)13時5分配信

 大手パチンコ機器メーカー「セガサミーホールディングス」の会長兼社長の里見治氏が東京国税局の税務調査を受け、約30億円の申告漏れを指摘されていたことが分かった。

 東京国税局から申告漏れを指摘されたのは、大手パチンコ機器メーカー、セガサミーホールディングスの会長兼社長の里見治氏(74)。関係者によると、里見氏は2012年分の税務申告の際、海外の金融商品の売却で生じた損失を差し引いて所得税を申告したが、東京国税局は差し引きは認められないケースだと判断したという。

 (略)

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20160915-00000033-nnn-soci

◆意図的なものか、錯覚か、分かりませんが。
 ただ、海外関係や金融商品関係について、課税庁はかなり神経質になっていると分かると思います。

(13)4200万円脱税「派遣先に買いたたかれ」
日本テレビ系(NNN) 9月15日(木)13時2分配信

 倉庫などに作業員を派遣する会社が、消費税約4200万円を脱税したとして刑事告発された。

 消費税法違反などの疑いで東京国税局から告発されたのは、東京・足立区の人材派遣会社「サチノ」と中島徳三社長(68)。関係者によると、中島社長は消費税を申告せず、2012年からの3年間で消費税約4200万円を脱税した疑いがもたれている。

 (略)

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20160915-00000029-nnn-soci

◆労務だけでなく、税務でも問題になってきているということですね。

(14)愛知商銀元理事長に有罪 韓国資産で3千万円脱税
2016.9.13 18:03更新

 韓国で保有していた大手金融機関の株式配当金などを申告せず、約3千万円を脱税したとして、所得税法違反に問われた信用組合「愛知商銀」元理事長の権東鉉被告(79)に名古屋地裁は13日、懲役1年、罰金700万円、執行猶予3年(求刑懲役1年、罰金1千万円)の判決を言い渡した。安福幸江裁判官は判決理由で「税理士に株は売ったと虚偽の説明をしており、厳しく非難されるべきだが、納税して反省している」と述べた。

 (略)

http://www.sankei.com/west/news/160913/wst1609130078-n1.html

◆国際的な課税漏れについて、今後は、ネットワークを利用した税務調査が強化される見込です。

(15)物流会社1億円超所得隠し=香港子会社を利用―名古屋国税局
時事通信 9月13日(火)11時56分配信

 タックスヘイブン(租税回避地)の香港に設立した子会社を介在させた取引を装い、所得を圧縮したとして、物流関連会社「アサヒ・リンク」(岐阜県輪之内町)が2015年3月期までの3年間で、約1億2000万円の所得隠しを名古屋国税局に指摘されたことが13日、関係者への取材で分かった。

 (略)

 関係者によると、同社は中国から製品を仕入れて日本で販売する際、香港の会社を介したように偽装。同国税局はこの会社を子会社と確認し、税率の低いタックスヘイブンにあるため、親会社と所得を合算して申告する必要があると判断したとみられる。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160913-00000057-jij-soci

◆ペーパーで間にかましただけで実態がない、という判断だったのでしょうか。

(16)スズキ、所得隠し3億円…申告漏れ総額12億円
2016年09月13日 07時31分

 (略)

 関係者によると、同社は余ったレース用オートバイの部品の仕入れ費用を経費に計上し、利益を圧縮。税務処理上、余った部品は在庫として管理し、使用するまでは経費計上できないが、同社は未使用の部品も使ったことにする「在庫除外」と呼ばれる方法で、3億円の所得を隠していた。

 そのほか、外部委託した開発費についても税務上、開発終了まで経費として処理できないのに、費用の一部を経費に計上するなどし、計約9億円分の申告漏れを指摘された。

http://www.yomiuri.co.jp/national/20160913-OYT1T50001.html

◆在庫除外は論外ですが。気になるのは、外部委託開発費の計上時期です。開発終了まで経費処理できないと判断されています。契約書における委託内容と報酬支払時期との関係について、どのように記載されていて、どのような判断であったのかですが。要注意と言える事件です。

(17)従業員を請負偽装契約 源泉所得税、消費税逃れ 大阪・業務請負会社
2016.9.13 05:00

 大手メーカーの工場に従業員を派遣し、工程管理などを請け負う人材会社「紀和」(大阪市西区)が、実質的には労働者であるにもかかわらず、従業員を「個人事業主」とみなし、さらに業務を請け負わせる形を取ることで、源泉所得税や消費税の納付を免れたとして、大阪国税局から所得隠しを指摘されたことが12日、わかった。両税の追徴税額は重加算税や無申告加算税を含め計1億数千万円で、同社は修正申告し納付した。

 (略)

 関係者によると、同社はメーカーから請け負った業務を、従業員一人一人に、さらに請け負わせる形を取ることで、従業員に支払う対価を賃金(給与所得)ではなく、所得税の源泉徴収義務を負わない外注費(事業所得)として処理。源泉所得税を計上していなかった。

 さらに、消費税が賃金にはかからない半面、外注費にはかかることから、支払った対価を、課税売り上げから控除される課税仕入れに含めていた。

 これに対し国税局は、社会保険料を労使折半で負担するなど実質的に雇用関係にあるにもかかわらず、請負の書類を一方的に作成して給与所得を事業所得に仮装したと認定し、源泉所得税の納付漏れを指摘。

 (略)

http://www.sankei.com/west/news/160913/wst1609130010-n1.html

◆東京だけでなく、大阪でも偽装請負の課税事案が増えているようです。

(18)法人税5700万円を“脱税” 建築設計会社を刑事告発
テレビ朝日系(ANN) 9月7日(水)11時59分配信

 (略)

 千代田区の建築設計会社「トニフォー・ティー・エス」と中山吉弘代表取締役(69)は、2013年までの4年間に約1億9000万円の所得を隠し、法人税約5700万円を脱税した疑いが持たれています。関係者によりますと、中山代表は取引先に嘘の請求書を作らせて、架空の外注費を計上する手口で脱税していました。支払い代金のほぼ全額を個人名義の口座にキックバックさせていたということです。中山代表は「悪質なことで大変、反省しています」とコメントしています。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20160907-00000024-ann-soci

◆こういうことが続くので、建設業への課税庁の目線が厳しいのでしょうね。

(19)住宅設計会社、5700万円脱税容疑 東京国税局が告発
朝日新聞デジタル 9月7日(水)11時57分配信

 耐震性が高いとされるツーバイフォー住宅の構造設計を手がける「トニフォー・ティー・エス」(東京都千代田区)が約2億円の所得を隠し、約5700万円を脱税したとして、東京国税局が同社と中山吉弘社長(69)を法人税法違反の疑いで東京地検に告発したことがわかった。すでに修正申告し、納税したという。

 関係者によると、同社は2013年12月期までの4年間に、知人の設計事務所にうその請求書を作らせる手口で架空の外注費を計上し、所得を少なく見せかけた疑いがある。隠した資金は中山社長名義の口座で保管していた。

 (略)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160907-00000039-asahi-soci

◆建設業界の話が本当に続きます。

(20)英会話教室社長、受講料一切申告せず…追徴課税
読売新聞 9月6日(火)17時26分配信

 英語力を測るテスト「TOEIC」の対策講座などを開いている英会話教室経営会社「TRAアカデミー」(東京都渋谷区)の女性社長が、東京国税局の税務調査を受け、2013年までの7年間で約1億4000万円の所得隠しを指摘されたことがわかった。

 重加算税を含む追徴課税は約5000万円。会社設立前に個人で経営していた教室について、受講料などの収入を一切申告していなかった。

 関係者によると、社長は13年頃まで、東京・渋谷のマンションの部屋などを使い、同アカデミーの名称で教室を個人経営。受講料を同アカデミー名義の口座に振り込ませていた。

 (略)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160906-00050057-yom-soci

◆バレないとどうして思っていたのでしょうか。不思議で不思議で仕方ないです。

(21)脱税指南事件、国税局OBに有罪判決
朝日新聞デジタル 9月6日(火)11時32分配信

 (略)

 判決によると、植田被告らは共謀して、2009~13年に医療法人や出会い系サイトの運営会社など4法人に架空の経費などを計上する手口で、法人税計約4億8千万円を脱税した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160906-00000039-asahi-soci

◆有罪もですが、金額に目玉が飛び出ます。「税理士は資格をなくせばただの人」。他山の石にしたいと思います。

(22)塩野義製薬:申告漏れ13億円追徴 処分取り消し求め提訴
2016年09月02日 19時32分 毎日新聞

 エイズウイルス(HIV)治療薬に関する権利の譲渡益を巡り、大阪国税局から約400億円の申告漏れを指摘された大手製薬会社「塩野義製薬」(本社・大阪市)が2日、更正処分の取り消しを求める訴えを東京地裁に起こした。

 塩野義によると、同社はHIV治療薬を開発する共同出資会社を英国の製薬会社と設立。事業再編に伴い2012年10月、塩野義が持つ権利(簿価約130億円)を製薬会社に譲渡する代わりに、同社の株式10%(時価約530億円)を取得した。国税局は14年9月、差額の約400億円が課税対象になると判断し、約13億円を追徴課税する更正処分を通知した。

 塩野義は「事前に国税局に照会し、非課税だと確認していた」と主張。大阪国税不服審判所に審査請求したが、棄却されていた。塩野義は「棄却は遺憾で承服できないことから訴訟を提起した」と説明している。

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https://news.nifty.com/article/domestic/society/12159-0903m040036/

◆現場で、いろいろと行き違いがあったのでしょうが、報道を見ている限りでは、納税者が不利に見えます。

2)法律関係

(1)「36協定」見直す検討会の初会合…厚労省
2016年09月09日 19時57分

 厚生労働省は9日、長時間労働の是正に向け、事実上無制限の時間外労働(残業)を課すことができる労働基準法36条の「36(サブロク)協定」を見直す検討会の初会合を開いた。

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http://www.yomiuri.co.jp/politics/20160909-OYT1T50090.html

◆長時間労働が、鬱病の引き金になるため、労働基準監督署は、最近、長時間労働に非常に神経質になっています。弊所でも、水曜日をノー残業デーとするなどの対応をしておりますので、是非、ご協力下さい。

(2)「夫婦共有名義」マイホームの落とし穴 半数が離婚する日本…最悪の場合は破産
2016.9.10 17:15

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 なぜ共有名義にする夫婦が多いかと言えば、夫婦の収入を合算することで、多くのお金を借りられるだけでなく、購入価格の一定割合を税額控除される「住宅ローン控除(減税)」と「住宅売却の3000万円の特別控除」の優遇を2重に受けられる大きなメリットがあるからだ。

 ところが、共有名義にしたばっかりに様々な問題を引き起こすこともあるのである。共有名義はメリットもあるが、離婚の場合には下記のような”共憂名義”になるデメリットも含んでいるのだ。

 ▼共有名義の落とし穴1

 離婚の際に、1番もめるのが家を売却する場合だ。共有名義の不動産は「夫と妻」の両方の承諾がないと売却することができない。例えば、夫は売却して得たお金を財産分与として分けあいたくても、妻が慣れた家に住み続けたいと主張してもめるケース。

▼共有名義の落とし穴2

 また、夫婦どちらかが失踪などで連絡がとれなくなり、売却の承諾を得ることができない場合もある。

 ▼共有名義の落とし穴3

 どちらが再婚した後に亡くなれば、その共有持分が複数の人に相続されることがある。

 ▼共有名義の落とし穴4

 住宅ローン完済後でも、元配偶者がその共有持分を担保にして借金をしたり、税金の滞納をしたりすれば、差し押さえられたりするリスクもある。

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 (永浜敬子=文)(PRESIDENT Online)

http://www.sankeibiz.jp/econome/news/160910/ecd1609101715002-n1.htm

◆税金だけを考えて行動するのは間違いですと、よくお話するのですが。
 まさに典型例です。共有にしようと考えている方は、是非お読み下さい。

3)医療・介護関係

(1)「特養に株式会社」…公取委が参入提言の報告書
2016年09月11日 10時43分

 公正取引委員会は、公的な介護施設である「特別養護老人ホーム(特養)」について、株式会社でも運営できるよう規制緩和を求める報告書を公表した。

 施設不足で特養の入所待機者は15万人を超えており、民間の参入で入所者を増やす効果があるとみている。

 (略)

http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160911-OYT1T50058.html?from=ytop_main3

◆まさか公取から、ですが。医療介護福祉業界には、激震かもしれません。