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●2016年7月末日用事務所だより


●2016年7月末日用事務所だより

第1 税務・会計・法務情報

 《1》新規取得機械設備の償却資産税減免には手続が必要です

 中小企業経営力強化法が7月1日施行しました。
 本制度のメインは、機械装置の償却資産税減免です。

 一定の要件で、期限のある手続が必要になりますが。
 7月以後取得機械の償却資産税が最大3期分半減します。

 ただ、このためには、各社自身の取り組みが必要です。
 機械購入先からの証明書入手も重要です。

 期限があるので、それまでに取得提出が必要です。
 証明書だけでなく、一定の経営計画の提出も必要です。

 取得から60日以内に計画認定申請が必要です。
 7月取得機械は、急がないと、間に合わない恐れがあります。

 関与先様には既にアナウンス済みですが、8月1日月曜午後研修を開催します。
 福山商工会議所のTKC福山SCGサービスセンターで14時からです。
┌──────────────────────────┐
│会社自身で適時に手続きしなければ、減免はありません。│
└──────────────────────────┘
 くれぐれもご注意下さい。

 《2》融資の資金使途違反(バンクビジネス)

 バンクビジネス2016年8月1日号より。

○ここを教えて!
 新入行員のための金融実務Q&A vol.46
 融資編 融資の資金使途違反
 櫻沢健

<今回の質問>
「設備の購入費用と聞いていたものが運転資金に流用されるなどの資金使途違反を防ぐため、どのような対応が求められますか。また、融資先に資金使途違反があった場合、どうすればよいでしょうか。」

 実は、融資を受ける会社側が理解していないことのナンバーワンがこれです。
┌─────────────┐
│「お金には色がついている」│
└─────────────┘
 そのように考えているのは、税務署だけではなく、金融機関も同じです。

 この稿にもあるように、金融機関は、融資時に3つのことを確認します。

 [1]何に使うか
 [2]いつ返すのか
 [3]どうやって返済するのか

 そして、この資金使途違反が生じるとどうなるのか。
┌───────────────────────┐
│最悪の場合は、融資金の一括返済が求められます。│
└───────────────────────┘
 そうでなくても、次回の融資が受けられない恐れすらあります。

 この点、多くの場合、借りる側は安易に考えています。
 しかし、金融機関からすれば「すわ、一大事!」なのです。

 必要な時、必要なだけ借りて、不要になったらすぐ返す。
 これが基本です。

 逆に言えば、「お付き合い」を頼んでくるのは。
 これを踏まえていない金融機関だということになります。

 一部金融機関にとっては、厳しい言い方になるかもしれませんが。
 中長期での、お互いの利益を考えることが、地域金融の基本だと信じます。

 《3》資金繰りを良くするためには

 利益が出ても、資金繰りがすぐに良くなるわけではありません。
 また、逆に利益が余りない中、少しでも資金繰りを良くしたいニーズはある筈です。

 資金繰りを良くするには、3つの対策があります。

[1]運転資金負担を減らす

 これは、売掛債権を減らすことと在庫を減らすことの2つに分かれます。
 在庫を減らすことについては以前書きました。

 売掛債権を減らすには、大きく2つです。

 【1】売掛金や手形の回収サイトを短縮すること
 【2】不良債権を出さないこと

 いきなり回収サイトを短くすると言っても難しいわけですが。

 たとえば、「値段を下げてくれ」と言われて呑まざるを得ない場合です。
 「それなら回収期間を短くして下さい」との条件を出すのです。

 利益が下がるのなら、せめて資金繰りで譲歩して貰うのです。

 不良債権を出さないことは言うまでもありませんが。
 それがどれだけ資金繰りに与える影響があるか、です。

[2]設備投資や修繕負担を抑える

 こちらは、利益が出て、借入が可能なら、悩まない部分ですが。
 そうでない会社にとって、大事な部分です。

 新しいものを調達したい誘惑に駆られますが。
 我慢すべき時は我慢が必要です。

 利益率のよい商品売上高が増加する場合なら。
 投下資金回収の目処が立つ資金なので、融資も受けやすいでしょう。

 しかし、例えば本社ビルの改築などは、利益に繋がりません。

 「修繕費がバカにならないから買う」

 それも1つの決断ですが、本当に資金繰りに困っている場合。
 何に資金を向けるべきかを、よく考えるべきです。

 使途が何だろうと、同じ金額のお金を使うのには変わりありません。
 本当に今使うべきか、よく考えて下さい。

 儲かるようになるまでは我慢する。
 身も蓋もないですが、辛抱する木にこそ花が咲くのです。

 《4》医療費控除のデータをエクセルで作成される方へのお願い

 個人の所得税確定申告で、医療費領収証集計は、基本お客様にお願いしております。
 その際に、表計算ソフトであるエクセルで作成されている方々へのお願いです。
┌──────────────────────┐
│医療費控除の集計に用いたエクセルのデータを、│
│是非、弊所に頂ければと存じます。 │
└──────────────────────┘
 もし、パソコンのメールを弊所に送付することが可能であれば、そちらで。
 あるいは、USBフラッシュメモリなどに入れて頂くことも可能です。

医療費集計フォームのダウンロード(国税庁)
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tokushu/h27_iryohi-download.htm
配当集計フォームのダウンロード(国税庁)
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tokushu/h27_haitou-download.htm
第2 研修会情報・執筆情報

 《1》関与先様向研修会

 別途ご案内した通り、関与先様向けに、8月1日月曜午後に償却資産税減免関係の強化法研修を行います。本事務所便りの到着時には、終了している可能性が高いと思いますが、ご容赦下さい。

 また、別途秋口に、例年通り、相続税・贈与税セミナーを開催します。

 なお、改正消費税セミナーは、増税延期により当面は開催しないことになりました。

 《2》外部研修会情報

1)「相続税税務調査の受け方セミナー」大和ハウス工業セミナー

 7月3日日曜午後に福山ニューキャッスルホテルで、相続税税務調査の受け方セミナーを開催しました。概ね好評であったとのお話です。

2)東北税理士会研修会(盛岡・仙台)

 東北税理士会の依頼で、10月20日・21日に盛岡・仙台で研修講師を務める予定となっております。このため、19日水曜夜から21日金曜一杯まで、各種のご連絡ができない場合があり得ます。申し訳ございませんが、どうかご容赦下さい。

 《3》執筆情報

 今月は特にありません。

第3 PC関係

 《1》Windows10無償アップグレード終了

 この事務所便りが届く頃には、Windows7/8/8.1からWindwos10へのアップグレードの無償移行期間が終了しているものと思います(アナウンスでは、7月29日終了予定)。

 マイクロソフトは、Windows10を最後のWindwosにすると言っていますが、この会社は言うことがコロコロ変わります。今後どのような方向性にいくのか、油断できません。

 ただし、Windows10は、アップグレードで導入する場合のトラブルを除けば、比較的安定して動くOSだとの評価が定着してきつつあります。

 皆さんが、今後、パソコンを購入される場合には、Windows10ベースのものを購入することになると思いますし、それで正解だと思います。

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INET用

 《1》重要報道

1)脱税情報等

(1)清水建設、20億円申告漏れ 外注費水増しを国税が指摘
朝日新聞デジタル 7月6日(水)5時21分配信

 ゼネコン大手の清水建設(東京、東証1部上場)が東京国税局の税務調査を受け、2015年3月期までの5年間で約20億円の申告漏れを指摘されたことがわかった。水増しされた下請け会社への外注費などが問題視され、経費として認められなかった模様だ。追徴税額は過少申告加算税を含め、約5億円とみられる。

 関係者によると、工事の発注業務なども担当していた現場監督の元社員が11~15年、都内の複数の建設工事について、下請け会社8社に外注した工事代金を水増し請求させていた。計約1億4千万円を元社員自らに還流させ、飲食代などに使っていた。国税局は水増しされた外注費について、「経費と認められない」と指摘したとされる。

 また工事の人件費や資材費などの原価について、本来計上すべき時期より前倒しして計上するなどの経理ミスが見つかったという。

 (略)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160706-00000006-asahi-soci

◆大手が続ければ、下請けも従わせられるしかなくなります。
 この業界の悪習としか言えません。

(2)固定資産税を11年間過徴収 島根・津和野町
2016.7.13 11:09更新

 島根県津和野町は13日までに、平成18年度からの約11年間、固定資産税の課税で、計85人から約340万円を過徴収していたと発表した。税額の基準となる地価の下落が反映されていなかったことが原因。町は対象者に謝罪し、返金する。

 (略)

 17年の合併に伴い、新しいシステムに移行した際、地価の変動が反映されない設定になっており、それを解除しなかったとみられる。17年の評価額が引き継がれたままになっていた。

 還付加算金を含めた約360万円は、町の規定に基づき全額返金されるという。

http://www.sankei.com/west/news/160713/wst1607130043-n1.html

◆5年分しか戻らないケースもよく聞きますが、11年分全額戻るのですね。

(3)南海電鉄、千数百万円所得隠し…国税指摘
2016年07月21日 09時56分

 (略)

 税務調査で、子会社の元取締役が、商品を横流しして代金を着服した不正が発覚し、所得隠しと認定された。南海電鉄は近く、元取締役を業務上横領容疑で告訴する方針。

 他の経理ミスを含む申告漏れは約2億円とみられ、同社は重加算税を含む追徴税額約7000万円をすでに全額納付した。

 関係者によると、元取締役は、取引業者から納入した商品の一部を無断で別の業者に横流しして売る手口を繰り返し、千数百万円を着服したとされる。国税局は、これらの着服金は本来、会社の所得にするべきだったとして、仮装・隠蔽を伴う所得隠しにあたると認定した。元取締役はすでに子会社を退職している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/20160721-OYT1T50020.html?from=ytop_main5

◆役員の横領でも、会社に重加算税が課されている点に注目して下さい。
 踏んだり蹴ったりですが、これが実務の大半です。

(4)積水化学が5億円申告漏れ 大阪国税局 一部は所得隠し認定 重加算税含め2億円追徴2016.7.20 10:22更新

 住宅化学大手の積水化学工業(大阪市)が大阪国税局の税務調査で、平成27年3月期までの3年間で約6億円の申告漏れを指摘されたことが20日、分かった。このうち約5千万円は接待飲食費をめぐって重加算税の対象となる所得隠しと認定された。追徴税額は2億数千万円で、同社は修正申告し納付した。

 社外との接待飲食費は原則として1人あたり5千円以下の場合は経費に算入でき、課税対象とならない。同社によると、実際よりも参加人数を水増しすることで1人5千円の範囲に収まるよう操作したケースがあったという。このほか、売り上げなどの計上時期を誤り、所得を過少に算出するなどの経理ミスも指摘された。

 (略)

http://www.sankei.com/west/news/160720/wst1607200036-n1.html

◆上場企業や子会社を中心に、5000円基準は広く使われています。ただ、数が膨大でチェックが行き届きにくいのではと言われていました。重加算税が課されていますので、悪質事例が少なくなかったのでしょう。利用している法人は、社内的に注意喚起しておくべきでしょう。

(5)金地金20キロ密輸の疑い 韓国籍の女ら2人逮捕 9千万円にかかる消費税逃れようと 大阪府警
2016.7.27 18:05更新

 (略)

 逮捕容疑は、5月12日夕、韓国・仁川空港から関西空港に到着し、1枚1キログラムの金の延べ板20枚(9千万円相当)を税関に申告せず密輸しようとしたとしている。1枚ずつ新聞紙にくるんだ延べ板を手荷物のバッグに入れており、税関職員が発見したという。

 金を正規で輸入した場合、消費税を税関に支払う必要があるが、密輸して売却すればその分利益が上乗せされる。府警によると、張容疑者は数年前から韓国や香港に頻繁に渡航しており、調べに対し、「香港で金を購入し、10回くらい密輸した」などと供述している。

http://www.sankei.com/west/news/160727/wst1607270067-n1.html

◆「ハンドキャリーは結構バレない」なんて噂を信じた結果なのでしょうね。

2)法律関係

(1)相続手続きを簡素化=戸籍書類、証明書1通に-法務省

 法務省は5日、相続手続きを簡素化する「法定相続情報証明制度」(仮称)を来年度に新設すると発表した。現在は、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本など大量の書類一式を集め、登記所や各金融機関の窓口にそれぞれ提出する必要があり、相続人の負担となっている。新制度では、最初に書類一式を登記所に提出すれば、その後は登記所が発行する1通の証明書の提出で済むようになる。
 相続手続きの簡素化は、相続人や金融機関などの負担軽減を図るとともに、相続結果の登記を促して所有者不明の不動産を解消することが狙い。

 (略)

 現行制度では遺産を相続する場合、不動産登記の変更、相続税の申告、銀行口座の解約などのため、大量の戸籍書類一式をその都度、官民全ての窓口に提出しなければならない。新制度では、まず登記所に書類一式を提出してもらい、登記所が相続情報を記載した証明書を交付。金融機関などでは証明書の写しの提出だけで手続きが行えるようにする。(2016/07/05-18:50)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016070500470&g=soc

◆待望の制度です。
 ただし、最初に法務局に持ち込む際には、従来と同じような厳格な手続きが必要になるのだと予想します。

(2)リーマン破綻、債権・債務3者相殺は無効 最高裁が初判断 手続き開始後認めず
2016.7.8 20:29更新

 破綻したリーマン・ブラザーズ証券の民事再生手続き開始後、取引先同士がリーマンとの債権・債務を相殺できるかが争われた訴訟で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は8日、「民事再生申請後に相殺が許されるのは申請した会社との2者間に限られ、合意があっても3者間では相殺できない」と初判断。相殺を認めた2審判決を破棄し、相殺を無効とする判決を言い渡した。

 (略)

 平成20年9月、リーマンが東京地裁で民事再生手続きを開始し、デリバティブ契約も終了。野村信託は約4億3千万円の債務をリーマンに抱えたが、野村証券は同じ取引でリーマンに17億円余りの債権があった。1審東京地裁、2審東京高裁はいずれも野村信託の主張を認め相殺を有効と判断した。

http://www.sankei.com/affairs/news/160708/afr1607080026-n1.html

◆相殺は、倒産しそうな相手先から回収手段として、よく法務で使われる手法ですが、今後、一定の歯止めが掛かるのかどうか、注目したいところです。

(3)母の死隠すため“ウソの住民票”息子逮捕
2016年7月25日 19時52分

 東京・渋谷区で当時73歳の母親が死亡したことを隠すためウソの住民異動届を提出したとして58歳の長男が逮捕された。

 警視庁によると逮捕された黒田克之容疑者は2011年8月頃、同居する母親の良子さんが渋谷区の自宅から横浜市に転居したように装って区役所にウソの住民異動届を提出した疑いが持たれている。

 黒田容疑者は良子さんと2人暮らしで、良子さんは約10年前に死亡しており、調べに対し「母が生きているように装った」などと容疑を認めているという。

 (略)

http://news.livedoor.com/article/detail/11807143/

◆こういう世の中になってしまいました。まだ今後も同様の事件が続くのでしょう。

3)医療・介護関係

(1)補助金計1280万円を幹部名義口座にプール、大阪府立2病院で不適切会計 厳重注意処分へ
2016.7.28 08:39更新

 大阪府立の2つの病院が、正規の会計を通さずに府からの補助金計約1280万円を幹部名義の個人口座にプールしていたことが27日、府関係者への取材で分かった。病院を運営する地方独立行政法人の府立病院機構は会計処理が適切でなかったとして、両病院の幹部らを厳重注意処分にする方針。

 補助金は周産期医療の体制整備のため、府が府医師会を通じて支払う公金。

 (略)

 ただ、プールされた補助金はいずれも業務に必要な経費に使われ、機構は支出に問題はなかったと判断した。

 今年3月に急性期・総合医療センターの幹部らが、救急隊員への指導料として大阪市などから支払われた委託金を複数の口座にプールしていたことが発覚。約910万円を懇親会費の補助などに流用していた。機構がこの問題の発覚後、他にも不適切な会計処理がないか調査していた。

http://www.sankei.com/west/news/160728/wst1607280012-n1.html

◆今後、この種の調査が増えそうです。

(2)介護報酬を不正受給、認知症高齢者グループホームの指定取り消し 神戸市
2016.7.28 08:53更新

 神戸市は27日、介護報酬約180万円を不正に請求したなどとして、認知症高齢者のグループホーム「グループホーム田園」(同市北区)を運営する同区の「シニアケア心の風」に対し、不正に伴う加算金を含めた約250万円の返還を求めるとともに、介護保険サービス事業の指定を取り消した。指定取り消し日は来年4月1日付。

 市によると、同グループホームは夜勤職員を2人配置するという基準を満たしておらず、介護報酬を減額請求する必要があったのに、平成26年7月~27年11月、職員の人数を水増しして、介護報酬を不正に請求して受給。さらに、偽造した勤務表やタイムカードを市に提出し、不正に指定の更新を受けたとしている。

 (略)

http://www.sankei.com/west/news/160728/wst1607280014-n1.html

◆人員配置基準を充足しない上に、仮装隠蔽をやっているので、どうしようもないのですが。「人員不足の上、介護報酬が減額されると経営が厳しかった」との代表者の言葉は、これもまた本音なのでしょう。

5)パソコン関係

(1)ヤマト運輸を騙る不審メール 巧妙さにネット騒然
2016年07月02日 11時00分 R25

 6月28日、ヤマト運輸を装った不審なメールが来ているとの情報がツイッターに登場。ヤマト運輸も注意を促す事態となり、ネットが騒然となっている。

 (略)

 その後、問い合わせが殺到したのか、ヤマト運輸からは、

「不審メールにはZIP形式のファイルが添付されていますが、ヤマト運輸からお送りしているメールには添付ファイルはありません。絶対に添付ファイルを開かず、削除いただきますようお願いいたします」

と、アナウンスされた。不審メールには、ヤマト運輸の「お届け予定eメール」と同じ「件名」や「差出人アドレス」が表示されているとされ、かなり厄介な代物だったようだ。
 (略)

https://news.nifty.com/article/technology/internet/r25-00051462/

◆今朝は、司法書士事務所を名乗るウイルスメールが来ました。