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事務所だより特別編 平成23年改正速報


事務所だより特別編 平成23年改正速報


                 平成22年12月28日
                 濱田会計事務所
                 所長 濱田康宏(税理士・公認会計士)

第0部 はじめに

 今回の改正は、誰にでも影響があるものです。

 所得税、法人税、消費税、相続税、贈与税……。
 すべて、重要な改正ばかりです。

 しかも、過去の「節税」常識を書き換える必要が生じるものが混ざっています。
 適用時期が来年1月からのものは、一刻も早く内容を知って頂きたい所です。

 「知らなかった」という台詞を吐いて幸福になった人はいません。
 動く、動かないは別にして、まずは知識を得ることが先です。

 1月セミナー終了時に、皆様が受講してよかったと思って頂けることを目指します。
 しかし、受講できない方もいらっしゃるでしょう。

 そこで、事務所だより特別編として、最重要事項だけをピックアップします。
 自分に関係あるところだけでも、お読み頂ければ幸いです。

 なお、○部分は、税制改正大綱の概要の引用部分です。
 今年度の改正は、民主党の国会状況を鑑みると、素直に通らない可能性もありますので、予め、十分ご承知おき下さい。

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 │改正における落とし穴などは、行数の関係で書けません。│
 │ここでは、寸評だけをコメントさせて頂きます。 │
 │是非セミナーを受講して、ご確認下さい。 │
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第1部 誰でもが気にすべき重要改正点

 《1》所得税・住民税関係

1)給与所得控除が引き下げになります

○ 給与所得控除に上限を設定する(給与収入1,500万円超は一律245万円)。

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 │高額給与所得者にはインパクトが生じます│
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2)退職所得における住民税の課税が増えます。

○ 勤続年数5年以下の法人役員等の退職金について、2分の1課税を廃止する。また、退職所得に係る個人住民税の10%税額控除を廃止する。

 ┌──────────────────┐
 │こっそり、住民税の改正が入っています│
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3)役員については、給与所得・退職所得ともに課税が拡大します。

○ 高額な法人役員等の給与に係る給与所得控除を縮減する。
・ 給与収入4,000万円超は、1/2の額(125万円)を上限
・ 給与収入2,000万円を超え4,000万円までの間は、控除額の上限を4分の3とする部分も含め調整的に徐々に控除額を縮減

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│法人成りによる節税効果を減少させる改正です│
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○ 勤続年数5年以下の法人役員等の退職金について、2分の1課税を廃止する。また、退職所得に係る個人住民税の10%税額控除を廃止する。(再掲)

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│役員退職慰労金を貰うタイミングをよく考える必要が生じます│
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4)扶養控除はどんどん引き下げになります。

○ 成年扶養控除について、成年者は基本的に独立して生計を立てるべき存在であること等を踏まえ、控除を縮減。
・ 障害者、要介護認定者その他心身の状態等により就労が困難な扶養親族、65歳以上の高齢者、学生については、引き続き控除の対象
・ 給与収入568万円(所得400万円)以下の納税者については、扶養による担税力の減殺に配慮し、被扶養者の事情にかかわらず、引き続き控除を適用
・ 給与収入568万円(所得400万円)から段階的に控除を縮減し、給与収入689万円(所得500万円)以上の納税者については、控除を廃止
(注)現行制度では、23歳から69歳であれば、一律に控除が適用

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│配偶者控除の見直しは24年改正に先送りになりました│
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5)証券税制は延長されます。

○ 上場株式等の配当・譲渡所得等に係る10%軽減税率を2年延長し、平成26年1月から20%本則税率とする。これに伴い、いわゆる日本版ISAの導入時期を平成26年1月とする。
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 │延長しないと、景気が持たないとの判断です│
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 《2》資産税関係

1)相続税の基礎控除の引き下げと税率構造見直し

(相続税)
○ 現行「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」である基礎控除を「3,000万円+600万円×法定相続人数」へ引き下げる。
○ 最高税率を55%に引き上げるなど税率構造を見直す。

 ┌─────────────────────┐
 │基礎控除は6割に圧縮、最高税率もアップで、│
 │相続税の課税対象者増大です。       │
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2)相続税における死亡保険金の非課税枠見直し

○ 現行「500万円×法定相続人数」である死亡保険金に係る非課税枠を「500万円×次のいずれかに該当する法定相続人数」とする。
①未成年者
②障害者
③相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者

┌──────────────────┐
 │過去の保険契約の「節税」で税務的には│
 │無駄になるものが出てきます。 │
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3)相続税における未成年者控除・障害者控除の見直し

○ 相続税額に係る未成年者控除(現行6万円×20歳に達するまでの年数)及び障害者控除(現行6万円×85歳に達するまでの年数)について、1年当たりの控除額を10万円に引き上げる。

┌──────────────┐
 │基礎控除を下げ、税率を上げた│
 │後ろめたさを隠す隠蔽工作です│
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4)贈与税の税率構造見直し

(贈与税)
○ 暦年課税について、直系卑属(20歳以上)を受贈者とする場合の贈与税の税率構造を緩和する。

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 │改正後の相続税は4月から適用なのに、 │
 │贈与税は1月1日以後適用とされており、│
 │生前贈与の時期にも注意が必要です │
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○ 相続時精算課税制度について、受贈者に20歳以上の孫を追加するとともに、贈与者の年齢要件を「65歳以上」から「60歳以上」に引き下げる。

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 │生前贈与をしやすくして、お祖父ちゃん・ │
 │お祖母ちゃんから孫への贈与をしっかり │
 │して、孫が消費するのを国は期待しています│
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第2部 事業経営に関係する方が気にすべき改正点

 (略)

第3部 その他

 あまりみなさんに関係ないと思われるものは省きます。

1)国税通則法が改正されます。

納税環境整備
○ 納税者権利憲章の策定、税務調査手続の明確化、更正の請求期間の延長、処分の理由附記の実施等の措置を講じ、国税通則法について、制定以来最大の見直しを実施する。
○ 国税不服審判所の改革については、行政不服審査制度全体の見直しの方向を勘案しつつ、不服審査手続、審判所の組織や人事のあり方について見直しを進める。
○ 番号制度の早期の導入に向け、「社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会」を中心に速やかに検討を進めるとともに、税務面においても法定調書の拡充等の課題について積極的に検討を進める。

┌───────────────────┐
 │更正の請求期間延長はかなり大事ですが、│
 │みなさんにはあまり普段見えない部分です│
 │税理士実務は、かなり影響を受けます │
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2)年金所得者の確定申告不要制度を作ります

○ 年金所得者の申告手続の負担を軽減するため、公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、年金以外の他の所得金額が20万円以下の者について申告不要制度の創設等の措置を講じる。

 ┌───────────────────┐
 │今年の改正で、民主党がやった唯一マシな│
 │改正です │
 │年金だけなら、確定申告しなくてよい例が│
 │増えます │
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3)市民公益税制の改正

市民公益税制
○ 認定NPO法人への寄附について、所得税において税額控除制度(控除率40%:個人住民税と合わせて50%まで)を導入する。公益社団・財団法人、学校法人、社会福祉法人又は更生保護法人への寄附についても同様の税額控除制度を導入する。

┌──────────────────────┐
 │普通の人にはあまり関係ないと思いますが │
 │ある種の方達には、興味ある改正かもしれません│
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                          以上